2021年現在でも未だに心霊スポットとして語り継がれる『雄別炭鉱病院』。ネットで検索すると相変わらず『最恐スポット』などと紹介されており、たま~に動画もアップされていることからまだまだ需要があるということでしょうか。私もオカルト好きですが、この病院については残念ながら的外れでしょう。心霊目的の方には残念ですが、毎年の様に現地へ行っても何も感じず・起こらず・聞こえず・写らず、というのが現実です。というのもこの建物はほぼ新築で、過去に雄別炭鉱で大きな事故も起きていないので全く心霊スポットとなる根拠がありません。そして何よりも雄別出身の方は心霊スポットとして扱われることを快く思っておりませんので、ここで強く否定しておきます。ただ、病院内で熊の目撃情報が多数あるという点では『北海道最恐スポット』なのかも知れませんw
1968年初頭、木造だった旧雄別炭鉱病院(診療所?)が火災で消失。その後鉄筋コンクリート構造で再建されたものがこの建物です。完成から50年以上経っても健在ですね。雄別炭鉱は1970年2月に閉山、4月には雄別本線が廃線となったことから、この病院が使われた期間は恐らく1~2年、ほぼ新築のまま役目を終えたと思われます。
なお、ネットでよく見かける『雄別炭鉱ではガス爆発、落盤、崩落など多数の事故が起き、多くの死傷者が出ています』というものですが、ガス爆発については雄別炭鉱傘下の茂尻炭鉱(赤平)で多くの死者を出しているものの、この病院とはあまり関係ない(赤平にも病院はあるし、わざわざ阿寒まで病人を搬送するだろうか)のではないかなと。また、全く事故が無かった訳ではありませんが、ほとんどがこの病院が完成する前の事故なので、実に『誤解を招く』書きっぷりだと言えますね。
ここに初めて訪れたのはかなり昔、心霊と廃墟への興味でデジカメ片手に一人潜入して以来、何度も足を運び、千羽鶴や落書きがあった時代から徐々に姿を変えていく様を見てきましたが、ここへ来て大きな変化がありました!
正面玄関にセンサーアラームが!機械取り付け周辺部にはそれなりの補修があります。音が鳴り光も発しました。
そして防犯カメラまで!こちらもワリとしっかり取り付けられています。
更にセンサーライトも付いていましたが、こちらの天井開口部の処理は雑で、絶賛作業途中でしょうか?作動はしなかったものの、夜に行ったらビビるだろうこと請け合いです。2018年6月訪問時には無かったので、2019年9月の訪問までの間に取り付けられた模様です。一体誰が・何の目的で?そう、思い起こせばこの建物、十数年ほど前はこんな感じでした。
第二次オカルトブームの頃は落書きだらけ、至るところに千羽鶴、線香代わりのタバコ、ゴミも散乱。事の発端は週刊誌で『心霊スポット』として特集されたことらしいのですが…その週刊誌と自称霊能者は実に罪深いです。
そして2007年には経済産業省が近代化遺産として雄別炭鉱を認定、それをきっかけに保存に向けた動きに伴って病院内の清掃や落書きを隠す塗装、補修のための塗装も見られるようになりました。それが何故今頃になって突然センサー類を取り付けるに至ったのか、雄別を研究されている方やその道の詳しい方に問い合わせてみたものの、答えは出ず。
頭をよぎったのはこれら清掃・整備に携わってきた方々、夏には病院周辺の下草を刈ったり、案内看板を設置した時期もありましたが、これら雄別遺構を大事にしてきた方々の存在です。今まで苦労して綺麗な姿にしてきた方々が、もしや侵入を拒んでいるのでしょうか?センサー類の電源はソーラーだろうし、電波は届かないので衛星インターネットでも用意しない限りはセキュリティとしての役割を果たせないとは思いますが、、、もしかしたらオーナーの意思?かどうかはわかりませんが、とにかく近づかないことにします。
という訳で、、、ありがとうさようなら。…念の為、雄別購買にも立ち寄ってみます。
果たしてセンサー類は取り付けられているか?確認します!
特に何もありませんでした。
いつも通りの雄別購買です。
木製の階段もかろうじて無事でした。
階段を上った先の小部屋は崩壊が進み、落ちるのも時間の問題でしょうか。
外に回ってみると、階段の手摺は何年か前に塗装されていたものが少しずつ剥げてきているのが確認出来ます。
屋上の確認のため階段を上ります。
再び雄別購買へ。病院へのセンサー取り付けの衝撃から色々と考えてしまいました。誰かが愉快犯的に、お手軽に取り付けたものじゃない、お金だって時間だってかかっているに違いない…謎ですね。
そしてそれから約2年後の2021年。再び病院を訪れてみることにしました…
(参考:雄別炭鉱2007 / 雄別炭鉱2011壱 / 雄別炭鉱2011弐 / 雄別炭鉱2011参 / 雄別炭鉱2012 / 雄別炭鉱2013 / 雄別炭鉱病院、心霊スポットに思うこと / 雄別炭鉱2014 / 雄別炭鉱2018 / 雄別炭鉱2021)