雄別炭鉱跡(阿寒町)2014

2014年4月6日日曜日

炭鉱

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北海道釧路市阿寒町の雄別炭鉱跡。昨年に引き続き今年も冬の探索を行いました。いつもの職員クラブ・購買所・病院だけじゃなく、今回は健保会館・協和会館・神社と探索範囲を拡げて歩き回りました。病院については手書きの図面を見つけたので、確認しながら見て回っています。

木造の建物『職員クラブ』。今年は雪が降る中での訪問となりました。積雪量はさほどでもありませんが、道東という地域では一旦雪が降ったら春まで連日氷点下の気温が続くことになるため雪がいつまでもしつこく残り、重みで建物を傷めるのです。


職員のための福利厚生施設だった職員クラブは、造りが豪華だったため雄別御殿とも言われた建物です。この木造の建物は年々崩壊が進んでおり、中に入るのはかなり危険な状態となっています。それでもこの木造の建物が倒れないのは、やはり『御殿』としての意地でしょうか?


正面玄関から見て左側の面です。壁だけのハリボテ状態になっています。


方角的には北側になるのかな?正面玄関から見ると真裏です。部分的に倒壊していることがわかります。


はなれの付帯施設、トイレと風呂の建物です。


なぜかトイレを撮り忘れてしまいました。


正面玄関から見て右側の面は、左面とは極端に違い崩壊してない様に見えます。


という感じで一周してみました。今年も完全倒壊は免れたようです。重機でも入らない限りは大丈夫かな?


続いては雄別商事の購買所です。昭和36年に設立された建物は、駅前スーパーマーケットのような施設でした。この建物は数年前まで落書きだらけ、床は瓦礫だらけでしたが、今や落書きは消し去られ、床上もすっきりと片付けられています。


骨格は頑丈そうな建物でも木造部分は痛み出してきたのか、カウンター裏の部屋の天井が年々低くなってきています。これでは階段も恐くてあがれません。しかも何となく壁の穴が広がってきているような気もします。


北側の面は外壁が無くなっているため吹きさらしです。


前回訪問時とあまり変わった様子はありません。


ちなみに床上にあるこの黒いものは鹿のフン、じゃなくて落ち葉でした。


雪はまだ降り続いていますが、これにて外へ出ます。


建物北側の面を確認。外壁が無くなっており鉄骨が剥き出しです。


道道のゲートは何ヶ月も前から閉まっていたハズですが、タイヤ痕があるのは驚きでした。購買会のある栄町から宮ノ下町へ続く旧道を歩きます。


この辺りにも建物跡は点在していました。


この辺りには一般住宅の他、派出所や雄別郵便局もあったようです。


地下だけになった健保会館と、その向こうにはまりも保育所の基礎が見えます。


地上2階・地下1階の建物だったようですが、残っているのは地下だけのようです。1階は剣道場・柔道場、2階はダンスホール、地下はシャワールームだったようです。



高さがそれほど無いので半地下のようになっていたのでしょうか?何故地下部分のみ残されたのかも不明です。


地面に埋もれていたせいで、解体するのが困難だったとか?瓦礫しか無いようですが、地下に降りてみました。


地下のシャワールームです。やけに天井が低いのですが、瓦礫のせいでしょうか?


健保会館から見える協和会館ですが、建物は火災で焼失しているため台形型の映写室のみが残っています。初めて目にしたときはトーチカかと思いましたw


協和会館は、映画上映のほか学校の催し物などにも利用されていたようようです。隣には協和会館別館という、鉱員のための福利厚生施設がありました。職員と鉱員とは明確に区別されていたようです。


建物は1997(平成9)年頃、タバコの火が原因と思われる火災にあったそうです。誰も居ないはずの廃村でタバコの不始末という事は、肝試しの連中でしょうか。機械室(映写室)とトイレの便槽だけが残されたようです。


映画をスクリーンに投影するための窓、映写窓かな?正式名称は知りませんw 


映写室の出入口を発見しましたので、中を確認します。


当時の図面では、この穴の向こうに建物玄関があったようです。


映写窓の向こうがスクリーンのある観覧席。二階席もあったようです。


便槽でしょうか?よくわかりませんw 協和会館の付近には別館もあったようですが、確認することは出来ませんでした。


健保会館と協和会館の間には、神社や土俵などがあったようです。これは神社の石段でしょう。鳥居があったのはどの辺りでしょうね?


神社の石段を登ります。こうして見るとかなり急な階段です。


お社は残っていませんが、灯籠か狛犬などが置かれていたであろう台石がありました。


社務所跡でしょうか?塚石が並んでいます。石積みの擁壁は相当古そうです。


神社の山から見下ろすと見えるのは、まりも保育所の基礎でしょうか?夏場なら緑で何も見えないでしょうね。


雄別砿業所事務所の周辺です。この辺りには廃便器があったような気がするので、あまりウロウロしないようにしますw


手前は地下物品庫の入り口、奥に見えるのは金庫の建物です。


こちらは書庫の建物ですが、雪が深いので遠くから見るだけにします。


雄別炭鉱病院の付近まで来ました。この辺りは旭町になるようです。木々の隙間から安全生産の看板がついた雄別通洞の坑口が見えます。この看板は後になってから取り付けられたもので、当時は坑口の上にありました。


雪の中ここまで来たのは今回が初めてでしたが、タイヤ跡は病院を越え更に奥地へと続いていました。


今回はこれまでとは違って病院の図面が頭にインプットされていますので、ポイントを押さえ手短に病院内部を探索しました。


側面の出入口です。この病院は完成から2年足らずで閉山となった築2年の病院です。それまでは木造の病院がありましたが、火災で焼失したためこの病院が建てられました。


1Fは手術室・X線室・薬局・外科・内科・婦人科・院長室・実験室など診療メイン、2Fは主に病室が並び入院がメインとなっています。


図面によると、ここは手術室になっています。いくつかの露出配管以外は無影灯などの医療器具も次亜塩素酸ソーダ臭もありません。ちなみに霊安室については図面に記載が見当たりませんが、記載を避けたのか存在しないのか不明です。


準備室・麻酔室です。窓の向こうには食堂・炊事室・更衣室などのある管理棟が見えます。


準備室の壁はピンクで浴槽は水色。リラックス効果でパステルカラーが多く見られます。


ここは消毒室?床下点検口が至る所にポッカリと開いていますので、注意が必要です。


ここから正面玄関のほうに繋がります。


正面玄関です。落書きはかなり目立たなくなっていますが、個人で消して回るのは大変だったかと思います。昔は千羽鶴やタバコや線香にローソクなどいかにも心霊系のアイテムが見られ、床にはチリやゴミが散乱していましたが、今はすっかり片付けられています。


ここの廊下にも床下点検口が開いていますので、夜間の訪問は大変危険です。


螺旋回廊の下は事務所だったようです。夏場はこの辺りに水が溜まって入れなくなりますので、この季節は限定となります。


事務所の窓枠越しに螺旋回廊の窓枠が見えます。


事務所の奥は資材置き場か機械室かはわかりませんが、普段は水が溜まっているようでガチガチに氷っています。テーブルか椅子に木の破片に保温筒なども落ちています。水という媒体に記憶された残留思念が様々な心霊現象を引き起こすと言われていますが、ここではそう言ったことが起きたことはありません。


管理棟への連絡通路です。この先には病院の更衣室や炊事室があります。


図面では炊事室となっています。手術室ではありません。


天井はすっかり落ちており、立派な鉄骨が剥き出しになっています。大き目の換気口があるところを見ると、やはり炊事室でしょう。隣は食堂になっています。


ここは大き目の更衣室です。天井が落ちて床に散らばっています。


細い廊下を挟んで看護婦更衣室が3つ並びます。左の青いタイルはトイレです。


病棟に戻るため、再び連絡通路を通ります。


連絡通路から見える病棟の様子です。


この病院最大の特徴と言えるかも知れない、螺旋回廊。別名螺旋のスロープです。割れてしまった窓から入り込んだ雪が、スロープに薄く積もっています。


スロープからは病棟を見ることが出来ます。


バリアフリーの概念を取り入れ、車椅子でも階段を使わずに1F~3Fを行き来できるという、40年以上前に設計された便利なスロープです。


図面では『面会所』となっている2Fのスペース。同スペースは1Fが『事務所』になり、3Fは『回復訓練室』となっています。


2F中央の柱。1Fの正面玄関にあったものと同じ雰囲気のデザインです。この向こうは主に病室が並んでいるようです。


『焼肉定食』の落書きが残ります。1980年代に流行した『弱肉強食のパロディ』でしょうか?ということは、この落書きは約30年前のものかな?


螺旋回廊の雪景色です。


スロープを伝って正面玄関まで戻ります。今回は屋上まで行きませんでしたが、理由は何だったのか忘れてしまいました。


病院内を片付けて戴いた方に感謝しつつ、病院を出ます。


外に出ました。


玄関前には自分のではない足跡がありましたが、最近のものでは無さそうでした。


今回の探索では、炊事室の天井が完全に落ちてしまったことを確認しています。当然ですが少しずつ内部の崩壊が進んでいるようです。

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