羽幌炭鉱跡(羽幌町) その弐

2015年12月6日日曜日

炭鉱

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北海道苫前郡羽幌町にある羽幌炭鉱、羽幌本坑の運搬立坑を堪能したあとは立坑に付帯している、正式名称は知りませんが、安全灯室や浴場・繰込所などがある立坑事務所を探索、その後は選炭工場という流れで見学を終えました。選炭工場には当時の残留物が多く遺っており、特に黒板に書かれた『詩』、というか『替え詩』が印象的でした。

出坑口から先に進みました。『機電課』『砿務課』と書いたプレートがついた部屋です。


受付カウンターのような机がズラーっと並んでいます。今で言う総務課みたいなものかな?ちなみに『出坑口』は写真右奥の明るくなっているところです。


天井は一部残っていて、いつ落ちてくるかわかりません。


長いコンクリート鍾乳石が年月を感じさせます。


奥には湯沸室のプレートが。


給水湯管らしきものが残っていますが、給湯器が設置されていたのでしょうか?


これは更衣室だったかな?何もありません。


ウロウロしてたのでわからなくなってしまいましたが、雰囲気的には玄関かな?w 割れた硝子が残っていますね。


安全灯室の方へ戻って来ました。安全灯の充電室でしょうか?詳しくは知りませんが、防爆型キャップランプを充電する部屋?


キャップランプを保管する棚でしょうかね。番号と名前がつけられています。


充電室内にも禁煙の看板がぶら下がっています。充電室は火気厳禁なんですね。


足元にあった木箱には、びっしり番号札が。安全灯の管理用?


安全灯の取り扱いについて掲示されています。『液漏れ防止のため安全灯は横にしない』『セルフサービスになって居るので各自清掃』『充電の際には充電状態の確認を必ず行う(メーター確認)』『坑内で安全灯の蓋部及びレンズ部は絶対に開けないこと』…などと書かれています。これを読むとどういう安全灯だったのかなんとなく想像出来ます。メーターというのはバッテリー残量のことでしょうか?


ここにも小さく充電室内禁煙の掲示と、ガスの漏出に関する注意があります。常に保安意識を持つよう喚起しています。


位置関係は憶えてませんが、近くにあった暗い部屋。


病院の受付みたいな小窓があります。


こちらはボイラー室?真っ暗な部屋でしたが配管が行き交っています。


浴場の入口には、入浴心得が掲示されていました。読んでみると『タバコは進発所でお喫み下さい』というものが何となく気になったので調べてみたところ、まず進発所については『繰込所のことを太平洋戦争で戦意高揚の一つとして進発所へ改称したものが戦後もそのままになっていた』と太平洋炭礦(釧路市、現コールマイン)の資料にありました。それと『お喫み』という表現については、昔はタバコを『喫む(のむ)』と言っていたそうです。つまり『タバコは繰込所で吸って下さい』ということのようです。それと備え付けのポマードというのも気になりますが、当時は流行っていたのでしょう。口裂け女のイメージw


洗面脱衣室ですね。鏡や蛍光灯は全て無くなっています。


浴槽は、浴室の角っこに一つ。


角っこの浴槽は、そんなに大きいものではありません。


それと中央の浴槽。こちらは少し大きめです。奥の壁には給水湯の蛇口が設置されていたような跡。この一角だけで15人分かな?


浴槽は大小2カ所だけの模様ですが、もしかしてギュウギュウだったのかも知れませんね。


浴室から外へ出ます。よく見ると木のドアがちゃんと残ってましたね。


細い通路に出ました。繰込待合所から操車場に繋がる入坑口の通路かな?


通路の壁には、今で言うタイムカード置き場?もしくは当時もタイムカードだったのでしょうか?1列50人分の番号がありますが、何列あったのかは未確認。


カードには『操業証』と書いています。入出坑管理用か、身分証明的なもの?カードには触れてないのでこの下がどうなっていたのかは未確認です。


操業証ホルダーの向かい側には、繰込のプレートのある部屋が。


低い位置に小窓が並んでます。


繰込の部屋近くには捜検室があります。間違ってもマッチやライターなど坑内に持ち込まないよう入坑前の服装チェックなどを行う部屋ですね。


立坑付帯施設の探索を一通り終え、外に出ました。これらはタワーの周辺にある選炭関連施設だと思います。ずいぶんと角度のついた遺構ですが、何でしょうね。


地下通路みたいになっている遺構も。


これは、もう何だかわかりません。奥に見えるのは積込ホッパーの施設です。


水が溜まった通路?があります。


これは主選機への通路なんだそうです。奥に行けば選炭機の中枢に行けそうですが、水が溜まっているのでやめておきます。12月なので氷っていても良さそうなものですが…?


見上げると、高い天井から氷柱が落ちてきそうな危ない感じになってました。


選炭工場の建物までやって来ました。地中から揚げられた石炭に混じる不純物(ズリ)を取り除き、塊炭や粉炭など品質別に選別する工場だそうです。


この選炭工場と付随して複数階層に渡り坑口事務所の部屋が数多く並んでおり、結論から言うと非常に見応えのある建物でした。個人的には今までで一番好みの建物です!!


日中の気温により氷柱が解けてきています。見た目より暖かい日でしたが、それにしてもあのタワー内部は寒かったw


選炭工場は窓がたくさんあるので、明るく居心地が良い場所となっていました。


一部凍っていた狭い通路の先にあった部屋です。滑って落ちたら怪我では済みそうもないので慎重に移動します。錆びた一斗缶が置いてありました。


振り返ると窓が並び、その向こうには部屋が見えるのですが、どうやって行くのかはわかりません。


ここから見える羽幌タワーです。


正面には先ほどの部屋に繋がる階段室が見えますが、足元に穴が開いており迂闊に降りられませんので別の経路を探します。


階段が兎に角たくさんあるため、階段愛好家としては楽しくて仕方ありませんw


引き続き工場内。小部屋がいくつか見えます。


天井には何かが貫通していたような穴が開いてます。


目についた小部屋からウロウロ回ってみます。


何か機械が据え付けてあったような台座が残る部屋です。


これは…何の部屋でしょうか。大きめの石机と木の机が。修理場?


火気取扱責任者の木標が残っています。


ここは?瓶が並んでいます。


クスリの瓶でしょうか?


この部屋は…特に何もありませんが、上階への階段があります。


ワクワクしながら階段を上りますw ここを上がれば坑口事務所の方に行けそうです。


階段を登った先は…羽幌炭鉱の事務資料が散乱する部屋に出ました。


昭和37年の持出証明証、選炭課という部署があったようです。


昭和40年度の起業予算書案、というものまで。経営資料を保管する部屋だったのでしょうか。何気に落ちているファンタ・フルーツパンチは、1984(昭和59)年に発売されたハズですので、閉山後のポイ捨てでしょうかね。


壁際の棚は空っぽですが、この部屋は資料の保管庫だった雰囲気。


更に進んだところにある便所です。


小便器は見落としてしまいましたが、大のほうは便器が残ってました。


トイレの頭上には『便器の蓋』でしょうか。汲み取り式の場合、臭いが上がってくるのを防ぐ目的で蓋をしておくのです。


ここは…神棚がある部屋。神棚には御札も残っています。それと大きな黒板も。


『貴女と私を逢わせてくれた 南通りに 灯がともる さよならなんか したくない 焼尻天売も 霧の中 港羽幌の ゝ 恋の夜』
これは1968年の森進一『ひとり酒場で』のB面、『神戸の夜』の替え詩のようです。関係者の方が羽幌を偲んで書いたものでしょうか。


手前の長テーブルの上には注連縄と、急須、割れたお神酒徳利のようなものが。


壁際には木製の机とロッカーかな?


部屋を出て階段を上ります。


階段の途中から見える選炭工場。どうやらここが先ほど見えていた階段室のようです。


事務室のプレートがついた入り口。


階段の踊り場から事務室の間は、数メートルの廊下で繋がっています。


その先の部屋には、事務机がいくつか置いたままになっています。


天板が無くなった机と、竹ぼうきが立てかけられています。


事務室の窓から選炭工場が見えるような造りだったようですね。


今では機械も壁も無いので、この窓から選炭工場全体を見渡すことが出来ます。


書類を保管していたであろう棚と、その奥にまた部屋があるようです。ただ、奥の部屋への扉が見当たりません。


窓を乗り越えて内部へ。一口コンロのようなものが落ちています。


味の素でも入っていたかのような小瓶も置いてありました。よくわかりませんが、食堂か休憩室でしょうか?


最後の階段を上ると、屋上でした。


まあまあ広めのスペースがあります。


屋上からの風景。当初はここを歩いて事務所の階段室へ行こうとしてましたが、雪に覆われていて歩くのは危険と判断しました。


屋上からもタワーが良く見えます。


屋上を出ます。


同じルートで選炭工場まで戻りました。


選炭工場から出る際、シックナーを見つけました。


まだまだ見どころがありそうですが、日没が近いので戻って来ました。


今回、羽幌の滞在時間は6時間。自宅からは雪道なので往復16時間以上かかりますので移動時間の方が遥かに長いのですが、遠くまで来た甲斐は大いにありました!



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