雄別炭鉱跡(阿寒町)2021

2021年8月11日水曜日

炭鉱(雄別)

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北海道釧路市阿寒町雄別にある雄別炭鉱職員のための福利厚生施設『職員クラブ』。来賓などをもてなすための施設で『雄別御殿』とも呼ばれ、閉山後に山荘として利用された職員合宿とともに取り壊しを免れたようですが、山荘はすぐに閉鎖となり、現在、職員合宿は基礎だけ、職員クラブは半壊の状態でかろうじて遺っています。職員クラブの探索後は雄別炭鉱の主力採炭現場だった苔樋地区にある『堤沢坑口群』へ。堤沢はアクセスが容易なので2回目の訪問となりましたが、アクセスが大変な北進や奥雄別地区には行ける気がしませんw

職員クラブの建物。ここ数年、この建物までの道路が荒れ放題となっていたため9年ぶりになってしまいました。もしかしたら倒壊しているかもと思っていましたが、まだ残っている姿を見て安心しました。


撮影1974年~1978年の地理院地図、中央の建物が在りし日の職員クラブです。(出典:国土地理院ウェブサイト https://maps.gsi.go.jp/ )


雄別炭砿アーカイブより (発刊 ウルトラウォーク実行委員会)
職員クラブは山の手町四丁目にありました。


これが職員クラブにアクセスする道路です。真夏の訪問だったので草は生え放題、おまけに倒木が道を塞いでいます。9年前には車が通れるくらいに片付いていたのに現在は完全放置の模様です。2007年、経済産業省より『我が国の近代化を支えた北海道産炭地域の歩みを物語る近代化産業遺産群』に認定され、遺構の案内看板の設置や遺構周辺・道路の草刈りなどさかんに準備が行われたもののうまく活用することが出来ず今日に至っているのではないかと。熊・ダニ対策を行い藪に突入します。


徒歩3分、山の手というだけあって少し勾配のある荒れ道を藪漕ぎし9年ぶりに再会です。外出自粛要請が始まったあたりから熊の出没情報が増えている気もするので用心しながら歩きましたが特に何事もなく到着、現地にも熊の気配はありませんでした。


建物左手側は以前より更に崩壊が進み、右手側はなんとか保っている状態です。


まずは建物右手側から一周してみます。


木についているちょっとした傷が熊の爪痕に見えてヒヤヒヤしますw


やはりと言うか、ここにあった木造の物置小屋が倒壊していました。


雪の重みに耐えられなかったようで、瓦礫と化してしまいました。


テニスコート側にあるトイレと浴室の部屋はなんとか無事のようです。


トイレの様子です。便器破壊魔に荒らされることなく残っています。以前、足元に落ちていたマンガ雑誌が無くなっていますね。ちなみに奥の個室も確認しましたが、便器は無事でしたw


浴室も確認してみます。


特に変化はありませんね。


トイレの窓にあるすりガラスがまだ完全には割れておらず頑張っていました。


物置小屋の消失にショックを受けながら一旦正面玄関へ戻ります。


正面玄関です。この先はほぼ完全に崩壊しています。今立っている場所ですら危ない状態。アーチの壁や電話室・浴室・階段などはどこかに行ってしまいました。


最後に建物裏側の様子を確認します。


ここから見た感じ、もはや時間の問題でしょうか?


2Fのトイレか浴室のタイルはかなり数を減らしてしまいましたが、まだ何枚か残っていますね。


雄別御殿とも呼ばれる大きな建物でしたので、足元は大量の木材で溢れ返っています。


かつての雄別御殿はどんな洋館だったのだろうかと思いを馳せながらここを後にします。


ふと見ると、正面玄関に倒木が直撃していました。今年の冬は越せないかも知れません。


閉山から50年が経過してもなお遺る建物を確認し終え、再び藪漕ぎで戻ります。


職員クラブ探訪後は堤沢へ。坑口群までは道道667号から雄別林道に入りますが、たまに林道ゲートが閉まっていたりするので行ってみないとわからない出たとこ勝負になりますw 今回はゲートオープンでした。


雄別林道ゲートから多少抉れた悪路を5kmほど走行、約20分で到着しました。ここは8年ぶりになります。道沿いに並ぶ坑口は手前から、①堤沢総排気坑口、②堤沢総排気人道坑口、③堤沢総排気風洞坑口、④二卸入気坑口です。昭和40年頃の主力採炭地域は苔樋地域と奥雄別地域で、苔樋地域は堤沢と北進の2地域に分けられていました。堤沢には新斜坑、一段卸、二段卸、新二卸の斜坑がありいずれも卸(下に降りていく)坑道、対して北進には昇(上に登っていく)坑道である北進昇の斜坑があったようです。ここにある坑口群は堤沢卸の排気と二卸の入気を担っていたものと認識していますが、どこまで合っているのかは自信ありませんw 


邪魔にならない場所に車を停め探索を開始します。当日は結局最後まで誰も走行することはありませんでしたがw


①堤沢総排気坑口
坑口の封印がかなり解けつつあり、前面のコンクリートが崩れてきています。


カメラを突っ込めるほど開口していたので、内部を撮影出来ました。


②堤沢総排気人道坑口
地下にある坑内の通風状態を確認するためメンテンスで使用した人道坑口だと思います。


③堤沢総排気風洞坑口
8年ぶりに来てみると、乗っかっている倒木が増えていましたw


坑内の換気用扇風機基礎と風洞坑口。扇風機による排気が行われていました。


風洞に開いている穴から内部を覗いてみます。


穴からは風洞を密閉したコンクリートを支えている金具のようなものが見えます。


坑口の金網越しに内部を確認してみました。


④二卸入気坑口
雄別通洞と直結している入気坑口です。周りの坑口に比べて大きなもので、少し小高い場所にあることもあって迫力があります。


ここに設置されている金網には隙間があるので覗いてみることにします。


坑道は僅かに右カーブしており数メートルで封印、閉塞部分が確認出来ました!


この入気坑道を上から見てみます。


上からの様子です。カーブしているのがわかりますね。坑道はだいぶ傷んでいるので崩落の危険があります。坑道の上には迂闊に乗らないことをオススメします!


夕暮れが近づいてきたため本日の探索はここで引き上げました。


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遺構については個人が趣味の範囲で調べたものですので、必ずしも正確なものではありません。また、当ブログでは熊などが生息している危険な場所を扱うことがありますが、探索を推奨するものではありません。なお、当ブログを見て何らかのトラブルに巻き込まれても当方は一切責任を負いません。

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