2019年7月、旧国鉄士幌線の第六音更川橋梁が崩落したというニュースが流れました。1938年完成のコンクリートアーチ橋は国の登録有形文化財に指定されていますが、以前見た時( 過去記事参照) から既に『浮いている状態』でした。完成から70年超経過し遂に支えきれなくなったのでしょう、崖崩れに伴って橋が折れたようです。それから一年後、やっと現地を確認することが出来ました。
士幌線の歴史は1939年、帯広~十勝三股間が開通するところから始まります。当時は帯広~上士幌までを士幌線、上士幌~三股間を音更線としていたようです。鐵道省旭川工事事務所発行の『音更線建設要覧』によると根室本線と石北本線を連繋する目的もあったようです。1955年、糠平ダムの建設で糠平駅から幌加駅までの路線が水没することとなりルート変更が行われ、糠平湖の誕生と共にタウシュベツ川橋梁は水没することとなります。1972年、国道273号の整備が進み三国峠が開通。鉄路ではなく道路で連繋することとなり、同時に沿線の人口減少が加速します。1978年、糠平~十勝三股間の乗客数落ち込みによる不採算区間の運行が休止となりバス転換となります。1987年、国鉄の赤字解消のため全線廃止し、バス路線となりました。
しばらく外出を自粛してたので久しぶりの探索。北海道河東郡上士幌町にある幌加除雪ステーションです。感染症の影響でここのトイレも閉鎖されていました。
説明看板によると、第五音更川橋梁はタウシュベツ川橋梁につぐ規模で音更川を跨ぐ部分は23mの大アーチとなっているとのことです。
幌加駅の説明看板は金属製の立派なものです。駅跡にはホームとレールに切替器付きのポイントも遺っています。
実はこんな警告がありました。今年はクマの出没が各地で相次いでいるのですが、ここも同じようです。
士幌線の最後は、見納めと言われ続けているタウシュベツ川橋梁を遠巻きに確認します。この時期は湛水期なので湖面から少し顔を出した状態になっています。
崩壊部分は右から3つ目と4つ目のアーチ間です。今から10年ほど前に崩壊が確認されて以降、毎年のように見納めと言われ続けていますが、今年も無事なのを確認出来ました。
(参考:士幌線の廃線跡2012 / 士幌線の廃線跡2013 / 士幌線の廃線跡2015 / タウシュベツ川橋梁2017)