戦争遺跡『奉安殿』(釧路市・鶴居村)

2016年11月13日日曜日

軍事遺構(北海道)

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戦前戦中にかけ全国各地の学校で天皇・皇后の写真と教育勅語を収めた建物、『奉安殿』。戦時中の小学校では軍国主義教育が行われる中、教育勅語と御真影を保管するために全国の小学校に設置されました。奉安殿は昭和10年頃に活性化しましたが、終戦後GHQの神道指令のため廃止となりました。ところが、中央からの司令は小学校からの『撤去』ということだったため、解体は免れ敷地外へ移設される形で現在でも全国各地に残っているようです。教育勅語は明治天皇の発した基本教育方針のことで、公式には教育ニ関スル勅語とされます。

釧路市春採の奉安殿

釧路市春採の笹薮丘陵にある奉安殿です。近くにあるコールマインの選炭場が見えます。


この奉安殿は大正7年開校の湖畔尋常高等小学校にあったもので、昭和3年12月に設置されたようです。湖畔尋常高等小学校は現在、釧路市立湖畔小学校となっています。戦後、GHQの指令で学校から撤去となり、ここ旧春採神社付近の公園敷地内に移設しました。太平洋炭礦の閉山までは春採神社が管理していたようですが、閉山後は春採神社も無くなってしまい、現在は朽ちるに任せているようです。


奉安殿の扉はすっかり錆びており、下のほうは錆落ちてしまっています。中がどうなっているかが気になりましたが、錆びた扉を開けることで破損に繋がる恐れもありますので、開けるのはやめておきます。


仕方がないので錆びた扉の隙間から中を覗いてみると、木片と金網フェンスのようなものが見えました。


今度は扉の隙間から中を確認します。側面にあった通気口が見えましたが、壁には無数の落書きとも思われる引っかき傷がつけられていました。


やはり子供のイタズラでしょうかね?いつの時代の子供かは知りませんが。


太平洋炭礦資料館内に春採神社に関するものが展示してありましたので、中にあった御真影などは恐らく太平洋炭礦で保管していると思います。多分。


木製の屋根が朽ち、落ちてしまうのはもう時間の問題でしょう。戦争遺跡を教育委員会などで管理するケースは多く見られますが、釧路市は無関心のようで放置されています。

釧路市鳥取の奉安殿

続いては釧路市の鳥取神社内にある奉安殿です。ネットでざっくり調べたところ鳥取小学校への設置は明治39年12月10日でした。神社内に奉安殿があるのはよくある話だと思いますが、どんな経緯でここに移設されたのかを神社の方に尋ねみたところ『奉安殿は知らないしここには無い』との回答でした。この記事をご覧になっているみなさんにはお馴染みであろう『奉安殿』ですが、戦時中に小学生だった年代の方々は知っていても、若い世代の方はほとんど知らないのでしょうね。


これも奉安殿だとは思うのですが、レンガ製だし立派過ぎるし注連縄してるし、神社の人に聞いても知らないと言うし、自信が無くなってきました。じゃあこの建物は何?と思ってネットでざっくり調べたところ、釧路負の遺産を守る会の新聞記事を発見しましたよ。安心して下さい、奉安殿ですw

鶴居村茂雪裡の奉安殿

こちらは阿寒郡鶴居村茂雪裡にある奉安殿です。ネットでサクッと調べたところ、昭和49年に廃校となった下雪裡小学校に設置されていた、という情報以外見つけられませんでした。基本的には学校敷地内から撤去されているはずなので、移設されたものだとは思います。


裏側の様子。春採にあった奉安殿と似た雰囲気ですが、半壊の春採のものに比べて屋根がしっかり残っています。


子供の背丈ほどある笹薮を掻き分けて進みます。奉安殿は神社に移設されるパターンが多いので、もしかしたらここに神社があったのかも知れません。


春採よりはマシですが、近くで見ると思ったより屋根が傷んでいます。


笹薮に気を取られて気が付きませんでしたが、扉の片側が無くなっています。


奉安殿の中を見るのは初めてですが…と、中を覗いてみると写真のお方と目が合ってビックリしましたw


神棚のように飾られた、いわゆる御真影?かどうかはわかりませんが、額縁に入れられた写真のお方がこちらを見ています。なんとなく気が引けるので写真は加工しています。


そして足元には激しく損壊した賞状が落ちていました。茂雪裡第三実行組合、乳牛の増殖などと書かれているところをみると、恐らく農業関係の賞状でしょう。奉安殿に保管していたのでしょうか。ということは、ここは神社ではなく農家だった可能性があります。近所の方に聞いたら何かわかるかも知れません。

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