通信海底ケーブル陸揚庫(根室市)

2014年7月6日日曜日

軍事遺構(北海道)

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北海道根室市西浜町ハッタリ海岸に位置する『根室国後間海底電信線陸揚施設』。

かつて「根室半島」と「国後島」を繋いでいた、海底の通信ケーブルと陸の電線をつなぐ中継施設です。

ケーブルは1900(明治33)年、郵便・通信を所管する旧逓信省により敷設されました。

電信線の総延長は、択捉島まで450kmほどだったようです。

かつて北方領土に日本人が住んでいたという証拠として、大変貴重な建物です。


長年放置されてきた陸揚庫


門柱は一部崩れながらもしっかりと立っています。

建物の前には漁具が入った青い籠などが散らばってますね。


特に意味はありませんが、陸揚庫裏の海岸にはあまり見かけない形の消波ブロックが並んでいました。


外観を確認します


建物としては、幅3.8m×奥行5.9m×高さ3.7mの小さなものです。

これまで見向きもされなかったと思われる建物が、やっと根室市によって整備される計画が持ち上がってきました。


約80年前の建造物


文化庁によると、この建物は1935(昭和10)年のものですので約80年前のものとなります。

戦後、国後が旧ソ連に侵攻されケーブルは切断、建物は民間に払い下げられ、以降は漁具などを保管する倉庫として利用されていました。

既に建物は傷みが激しく、周辺も土砂やゴミなどで荒れ放題です。


酷い有様の陸揚庫でしたが…


陸揚庫の建物は、全くの解放状態となっていました。

中を見ると、ちょうど腰の高さに板が渡され漁具庫の棚として活用していたようです。

この建物、少し前までは漁具などがビッシリと詰まっており、棚の上にも漁具が多数並んでおり、磯の臭いがキツくてかなりの激臭だったように記憶していますが、久しぶりに訪れてみると中にあった漁具(と臭いも)がほとんど無くなっていましたので、根室市の計画は進展しているのかも知れません。

が、まだ散らかっていますので本格着手はこれからというところでしょうか。


陸揚庫の内部を探索


まず天井の様子です。

なんとなく同じ根室にある落石無線電信局を連想しました。


棚の下をしゃがんで通ります


ちょうど腰の高さに棚があるので、しゃがんで通らないと向こう側の部屋には行けません。

建物は、小さいながらもドアで区切られ二部屋になっているようです。


奥の部屋


棚の下を通り、奥の部屋に到達。

こちらの天井には、壁から飛び出た碍子が多数みられました。

足元には海底ケーブルを引き込んでいた穴があった、ハズ、です。見てませんがw


根室市がこの土地と建物を所有者から購入したのは2013年のこと。

今後、整備が進んでいくことになるでしょう。


この邪魔な棚も撤去されるのでしょうね。

保存活動が本格化すると内部を見られなくなってしまうかも知れないので記録しておきました。


何故今になって保存?


それにしても長年放置されていた建物が何故、今になって整備されることになったのかは不明です。


恐らくですが、根室市がこの陸揚庫を戦争遺跡として保存することは、北方領土返還への意識付けという狙いもあるのでしょうか。


根室にはここの他にも多くのトーチカや掩体壕などの戦跡が存在しており、その中でも『電探所』については貴重なヒカリゴケの植生地でもあるため管理されているようですが、他の遺構は放置されているというのが現状です。

これら全てを保存するとなると莫大な費用がかかるので、相当難しいでしょうね。


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