北海道三笠市の幌内炭鉱は、1879(明治12)年に開発され1989(平成元)年に閉山した炭鉱です。
布引坑は幌内炭鉱の主要坑口として1917(大正6)に開坑されました。
そんな布引坑を、今回は繰込所・捲揚室から更に奥地まで入り、斜坑や送風機室に扇風機動力室と前回よりディープに探索します。
繰込所
まずは繰込所です。
建物はレンガ製モルタル仕上げと言うのでしょうか、炭鉱跡でよく見られる造りですが、この時代の主流だったのでしょうか?
屋根はほとんど無くなっており、残り1/4くらいです。
手元の資料によると、この建物は『幌内の炭鉱事務所と布引の竪坑の間を連絡する人車と、坑内へ入出坑する竪坑ケージとの乗り継ぎ時に鉱員が待機していた建物』のようです。
内部の様子を確認します。
外側は茶色と緑色がメインでしたが、内部は灰色と黒色の世界となってます。アートプロジェクトで貼られたステンドグラス風のアクリル板が、いつの間にか撤去されていました。
そう言えば繰込所もなんとなく片付けられていたような気がします。それで消火器が増えたのかも知れませんね!
いきなりスズメバチ危険!
錆びた捲揚ワイヤーが現存!
扇風機の台座
すぐ隣には通路のようなものもあり、結構な施設だったようです。
ここも凄いぞ!送風機室
風洞斜坑坑口の前には、先ほどの風洞トンネルと繋がる送風機室の入り口が見えます。
送風機室の建物を見上げます。梯子が見えていますね。
中は狭い通路が続きます。足元は鉄製の床で多少錆びています。
奥には送風機の心臓部、シロッコファンがそのまま残っていました!ファンの下には水が溜まっています。
というか今歩いてきた床の下にも水がたっぷり溜まっているようなので、床が抜け落ちたら怪我では済まないかも知れません。
送風機室の向こうには、動力室の建物が見えています。
いよいよ待ちに待った動力室です。
超素敵な動力室!
動力室内部です。残された図面には500HP主要扇風機との記載があります。
HとPがくっついたようなお洒落な書き方ですが、これはHorse Power、馬力のことでしょうか?
psに換算すると493.16psです。SUPER GTで言うと、GT500クラスですねw
扇風機運転の際の注意書きがあります。
残留物の多さに興奮!
喫煙はOKだったのかな?特別喫煙所と書かれた板の横には、扇風機運転休止時の心得が貼ってありました。
11月28日が最後の巡回だったのでしょうか。
『異状認めず』
逆V字型の正体は、外から見るとわかります。逆V字型の切り欠きですが、こういう変わった形のものは初めて見ました。
熱が篭もるので大きな換気口が必要だったのでしょうか?
萌える残留物
『扇風機温度調』と書いた綴りが落ちています。
日付は1954(昭和29)年2月24日と25日。水曜日と木曜日ですね。モーター温度、メタル温度、アンペア、水圧、室内温度などが記録されています。
何かは知りませんが、電気関係のものでしょうね。
許可証のようなものも見つけました。設置箇所には幌内礦布引坑4号風道と書いてます。
ナイスな動力室の外へ
動力室の外から送風機室の方向を眺めてみます。
謎の斜坑を探索
こういうのはガスが怖いですので、慎重に斜坑を下って行きます。
少し進んだところに土砂があり行き止まりになっていました。竪坑が出来る前の坑道でしょうか?
最後は布引隧道(奔幌内側)を探索
帰りは布引隧道に寄り道しました。
幌内の選炭場までトロッコ軌道が続き、出炭したものを送ったり人員の往来にも利用された隧道で、1952(昭和27)年に掘削されたようです。
コンクリート支柱が斜めに入ってたりなど意匠を凝らした坑口飾りです。
恐らくあの煉瓦部分にも凝った意匠が施してあったのではないかと思います。
坑口は半分埋まっていますが、塞いでいたであろうコンクリートが崩れているため出入りは出来そうです。
(参考:幌内炭鉱跡2012 / 幌内炭鉱跡2013 / 幌内炭鉱景観公園2017)




























































