NPO法人炭鉱の記憶推進事業団主催のアートプロジェクトで、住友奔別炭鉱の選炭施設(石炭積み出しホッパー)をメイン会場に、アートの力で炭鉱遺産の価値と記憶を甦らせ、炭鉱の記憶を掘り起こすというものです。
奔別立坑櫓
メイン会場の石炭積み出しホッパーです。
ここまで大きなホッパーを見たのは初めてです。
今まで見てきたホッパーは上屋が無くなって下側のコンクリートのみというものばかりでしたが、上屋がちゃんと残っています。
その高さに圧倒されながら会場へ足を踏み入れます。
会場の様子です。奥の方にいろいろありそうです。
アート作品「モス地蔵」
メイン会場入口では、今年もお地蔵さんが待っていました。
『全ての炭砿産業に関わった人の鎮魂とプロジェクトの安全祈願』だそうです。
昨年の清水沢で『スーパー地蔵』を製作した上遠野さんの作品で、モスとは日本語で苔の意味だそうです。苔の感じがリアルで、まるでずっとここに居たもののように錯覚します。
ふと見上げると危ない場所を発見!頭上注意で進みます。
ヘルメットが置いてあり頭を守るのに最適でしたが、使って良いのか不明です。
会場を進みます。開口部から垂れ下がる布、煤けたレンガの壁面。
アート作品「ご安全に」
『炭砿現場の合言葉をLED看板にして、当時の記憶と今を繋ぎます』
外からは見えませんでしたが、窓が多数あったようです。
ほとんどはコンクリートで塞がれていますが、開いた部分から入り込む光が薄暗い内部を照らします。
アート作品「Irreversible」- 逆行できない -
ジェッソという下地材で白く塗られた冷蔵庫・テレビ・プリンター・椅子・バッテリーです。
これらは元々ホッパー内にあったものとのことですが、ホッパーに家電?不法投棄のものでしょうか?
アート作品「栄光と衰退」
『炭砿産業の栄光と衰退を影絵で表している』作品です。
ホッパーの中にあったものが積み上げられています。
標語は当時使われていものが書かれているようです。影絵は上手く撮れませんでした。
アート作品「RとΘと連結器」
このホッパーは立坑建設の際に増築が行われ、この先から上部の柱の形状が異なる様子を表しています。
カクカクしていたものが丸いアーチ状に。
この作品の前で、昨年夕張でお世話になったやなぽんさんと再会しました。
夕張屋台村で一緒に食べた”石炭黒ラーメン”の味を思い出しますw
白く塗られていない家電製品です。
やはりホッパーに家電製品があるとは思えないので不法投棄でしょうかね。
不法投棄物をアート作品に有効利用でしょうか。
大量の消化器もありましたが、アート作品ではなさそう。当時もの?
アート作品「でんしゃ。でんしゃで、んしゃ。」
プラレールの単行電車が走り回ります。
ホッパーは炭鉱遺産であると同時に鉄道遺産でもあるということを思い起こさせます。
アート作品を見ながらホッパーを通り抜け、外へ出ました。
次に向かうのはこのホッパーの上屋です。
こうして見ると凄い錆色で、快晴の青空とのコントラストが萌えますね。
アート作品「階段」
公式サイトによると、出雲大社の本殿に上る階段をイメージしたデザインだとか。
この階段でホッパーの二階へ上がることが出来ます。普段はまず入ることが出来ないという、貴重な二階です。もちろん自身初体験です。
ちなみにこの階段、奔別アートプロジェクトの終了後には解体されてしまいます。
ここは丁度増築部分との境目のようで、右側が従来部分で左側が増築部分となります。
粉炭で煤けたブレーカーです。
二階は足元一面に粉炭が残る、暗い小部屋になっております。
粉炭の上を歩くたび、ふわふわした感触が伝わって来ました。
ここにも昔の缶などが多数落ちていました。
アート作品「呼吸する石炭」
奔別アートプロジェクト、最上部です。
石炭貨車に見立てたバルーンに空気が送り込まれ、呼吸するように膨らんだり萎んだりしています。
足元が不安定だったので曲がってしまいましたが、この光景を見て思わず声を上げてしまいました。
普段見慣れているポケットですが、上屋があるとこんな感じになるとは!
幅の狭い梁には足跡が残っていますが、ここを歩く勇気はありませんねw
貴重な上屋の内部を見ることが出来、大満足でした!
階段があるからこそ、こんな写真が撮れます。
最後に階段で記念撮影。
良く見ると結構危ない状態なのがわかります。
階段の高さから見る奔別立坑櫓です。
今回の奔別アートプロジェクト2012ですが、残り数回というところで何者かに悪質な悪戯をされたようで、作品を倒すなどの破損行為があったそうです。
幸いにも作品は修復され、無事に終了することが出来たらしいのですが…
(参考:清水沢アートプロジェクト2011 / そらちアートプロジェクト2014)