清水沢アートプロジェクトは、NPO法人炭鉱の記憶推進事業団主催のプロジェクトで、大正15年の完成以来65年に渡り空知全域の炭鉱に送電していた『旧北炭清水沢火力発電所』をメイン会場に、アートの力で炭鉱の記憶を掘り起こすという企画です。
解体途中の火力発電所、周辺に遺る運炭所や事務所などの産業遺産系廃墟が会場となっており、現在も完全予約制で季節限定公開されているようです。
会場にはたくさんの係員や学生さんが配置されており、力を入れたイベントとなっていました。そんな会場内の様子を、大量の写真で余すところなくお届けしますw
滝の上発電所
清水沢火力発電所に行く前に滝の上発電所を訪問しました。夕張市滝ノ上5番地、滝の上公園内にある建物です。
公園にはちょっとしたお店などがあり、観光客もたくさん居ました。
建物左側には三角屋根の跡があります。北炭の社章である星マークがついていますね。
この建物は1924(大正13)年に建造されたレンガ造りの発電所建屋ですが、既に稼働しておりません。
発電は新社屋で行われているようです。
清水沢火力発電所とともに北海道炭礦汽船株式会社(北炭)により建造された、北海道の石炭産業を支えてきた発電所になります。
ここから清水沢アートプロジェクト会場まで、車で約20分ほど移動することになります。
アートプロジェクト会場へ
と言うわけで、ここからがアートプロジェクトの模様になります。
まずは北炭清水沢炭鉱のズリ山です。
ズリ山から清水沢の炭鉱住宅が並んでいるのが見えます。
登山道の足元には、転ばないで!という親切な案内標識もあります。
ズリ山の登山道が続きます。結構歩きますので足が痛いw
アート作品「回廊」
ズリ山の頂上に設置されたアート作品です。
清水沢火力発電所が見えます。登頂すると記念品「特製てぬぐい」が手に入るのですが、今回は残念ながら在庫切れでした。
アート作品「還り道」
色のついた玉砂利は、現在から過去への道です。
アート作品「スーパー地蔵」
廃墟は危険なのでスーパーマン地蔵で安全祈願。
運炭/詰所
ここから遺構ゾーンに入ります。
解体中なのがわかります。
ここは貯炭施設だったようですが、今は水が溜まっています。
アート作品「日々の膜」
家と炭砿を柔らかく仕切る膜とのことです。
歩行禁煙のプレートなど、当時のものが多数見られます。
味のある机です。
ここには運炭・乾燥機・クラッシャーなどの機械が設置されていたようです。
手洗い場でしょうか?これも味がありますね。
当時の残留物は、展示用に拾い集めたものもあるそうです。
アート作品「運炭詰所」
この部屋は暗幕で覆われています。
ここにあるものは当時のままだそうで、暗闇にすることで時を凍結するアートである。と、学生さんが説明してくれました。
実際にここで働いていたという方の話では、その方が使っていた湯のみがそのままここにあるんだとか。
前回来た時はタバコの火が赤く灯るギミックがありましたが、この日は光ってませんでしたね。
運炭係員詰所
わくわくしながら入室します!
これは、すごい色の部屋です。
引き出しにビッシリ詰まった折り鶴ですが、当時の係員が暇つぶしで実際に折っていたもののようでアート作品ではないそうです。
それもまたスゴイですね。
運炭係員詰所の2Fへ
2Fへの急な階段を上ります。
前回訪問時は何でもなかったのですが、封鎖されてました。床が抜けそうなので封鎖したとのことです。係員曰く、「入っても良いですよ、自己責任で」とのこと。
いつも自己責任で行動しているので当然入りますw
2Fに上陸。ロッカーしか無い部屋ですが、石炭で煤けた窓ガラスが見られます。
これもまたすごい色です。
部屋を出ようとすると入れ違いにご老人が夫婦仲良く入って来ました。いろいろお話しすると、炭鉱施設や廃墟は初めてとのことで、関心しながら見学していました。
すごく楽しそうで、何だか嬉しくなりましたねw
微粉炭運搬施設
詰所の建物から外に出ました。これは発電の燃料となる微粉炭の運搬施設です。
ベルトコンベアは既に撤去済みですが、発電所までベルコンが繋がっており、中心部へ微粉炭を運搬していたようです。
一箇所だけコンクリートブロックになっているのが気になりますが、何故でしょう?
アート作品「みえる」
これはベルトコンベアで石炭を運搬する様子を表現するアート作品です。
レンガが遺っているのは良いですね。
建物の隙間から中を覗いてみました。
メイン会場
解体の中断により4分の1ほど遺ることとなった、メイン会場の清水沢火力発電所です。
メイン会場へ入る前に周辺を見学します。
北炭のマーク
足元に北炭のマークがありましたが、アート作品として紹介されていないものです。
個人で作ったのかな?
アート作品「手が届かない扉」
錆付いて開かなくなった扉の向こうには、たくさんの宝物が置いてあります。
これは、手が届かない過去を表現しているのです、と作品を手がけた学生さんによる説明をいただきました。
扉の向こうには古い掃除機・電話・什器などの日用品が置かれています。実際ここで拾い集めたものを綺麗に磨いてから皿に乗せたそうです。
どうやって中に入ったのか尋ねると、学生さんがスルスルっと格子からの潜入を実演してくれました。細くて羨ましいw
という訳で、ここがメインの会場の入口となります。
清水沢火力発電所内部
清水沢火力発電所に入ると、まず目を引くのは大きな操作盤です。
何が何かはわかりませんが、発電所の制御装置でしょうね。
錆びついた操作盤に古い計器類が並んでいます。
ラベルと読み取ると、「A.C. AM METER」「A.C. VOLT METER」「D.C. AM METER」「D.C. VOLT METER」「POWER FACTOR INDICATOR」などいろいろな種類のメーターが並んでいます。
こうして計器が並ぶ姿は圧巻ですね。
扉が開いたメーターもありました。
古い計器に魅了されます。
『株式会社 芝浦製作所』は東芝の昔の名称ですね。逆力継電器を調べてみると、発電した電気の逆流を防止する装置のようでした。
アート作品「In This World」
中には女性が入っているそうですが、撮り方が悪くて良くわかりません。
いきなり会場入口で計器類に魅了されてしまいましたが、一階にはこのようなアート作品の展示もありました。
二階にはアート作品のほか、残留物を多数展示してありました。これは落ちていた物をハンガーに掛けたものだそうです。
この自転車も落ちていたものでしょうか?
多数の碍子。発電所ならではです。
これらは拾い集められたものでしょうね。
鉄製の扉がありました。
操作可・操作不可の表示装置ですが、何の操作かは不明です。
メイン会場の二階は窓が多く、明るかったのが印象的でした。窓枠が結構歪んでいます。
アート作品「窓際にもういない人」
ここに座っているのは炭砿マンだそうです。寂しそうに見えますね。
アート作品「白昼虫」
結構な数のアート作品が展示されています。
アート作品「風神・雷神・千手観音(タービンローター)」
貯炭・運炭施設や発電所の遺構とじっくり触れ合うことが出来るイベントとなっており、見応えがありました。
ついでに清水沢炭鉱立坑跡
詳しくは知りませんが、ついでなので清水沢炭鉱の立坑跡を見学します。
立坑を密閉したという丸いコンクリートです。
コンクリートにはガス抜きの管が取り付けられています。
最後に密閉坑口
立坑跡の近くには、密閉された斜坑の坑口がありました。詳しいことはわかりません!w
会場をほぼほぼ網羅するくらい大量の写真を載せてしまいましたが、2011清水沢アートプロジェクトのレポートは以上になります!
(参考:奔別アートプロジェクト2012 / そらちアートプロジェクト2014)