トーチカ(網走市)

2022年9月4日日曜日

軍事遺構(北海道)

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北海道網走市内ではこれまで7基のトーチカが発見されており、現存しているのは北から『帽子岩・台町・鱒浦・藻琴・浜藻琴』の5基だと言われています。網走のトーチカは初めてですので下調べしたところ、『帽子岩トーチカ』は周辺の防波堤が立入禁止で近寄れず『台町トーチカ』は住宅街にあるため敷居が高く『鱒浦トーチカ』は民家の敷地を通らないと行けないようなので、アクセスが容易そうな『藻琴&浜藻琴トーチカ』に狙いを定めました。なお鱒浦トーチカ・台町トーチカと掩蔽壕についてはコチラ、『はるさんの戦跡巡礼記』で大変詳しく紹介されています。網走市内で消失した2基のトーチカは『モヨロ貝塚・二ツ岩』だとこちら様のサイトで知りました。

最初は浜藻琴トーチカ。『オホーツクに消ゆ』で有名な北浜駅を横目に藻琴海岸に到着。海岸の空き地に車を停め砂浜を歩きます。


歩きづらい砂浜を5~600mほど進むと堤防への登り口が見えてきます。タイヤ痕があるのでジムニーでなら走れそうですが、ハマると面倒なので諦めて歩きますw


砂浜より遥かに歩きやすい堤防に登ると、小高い丘にトーチカがだんだん見えてきます。


トーチカ周辺はこの凶悪な棘植物、ハマナスの群生となっています。事前情報により足元にトゲ対策を施して挑んだもののハマナスの棘は甘くないです。


ハマナス地帯の範囲はそれ程広くはありませんが、油断するとトゲが刺さってくるので気を抜けません。細かく鋭い棘が刺さると結構痛いことで有名なので気をつけながらトーチカに上陸。


二階建てトーチカの上に立って、ここで一息。


こちらが観測窓ですね。事前情報によるとここから海側三方向を観測出来たようです。写真で言えば手前と奥と右方向に同じ様なスリットがあります。


二階の天井には伝声管か通気孔の穴があいてます。一階と繋がっているもののようです。


結構な高さのある二階建てトーチカの上に居ますので、降りる場所を間違えると危険です。ハマナスの群生で下の様子がわかりにくいため慎重に場所を選びます。


うまく降りられました。こちら側は銃眼のある面です。


早速銃眼を確認します。銃眼は藻琴川の河口を向いていますが、植物に塞がれていてよく見えません。


狭いと言われる観測室を確認してみます。


本当に狭いw 観測室というよりも観測台?観測窓のスリットが三箇所確認出来ます。


観測台の下にはトーチカ内部への連絡口が見えます。草をかき分けいざ侵入!


内部へ。思っていたよりもしっかりとした広さがあってワクワクしますw


1F連絡口から斜めの方向に入って行く造りとなっています。


部屋は2つ。こちらは銃眼のある部屋。今回はライトを忘れてしまったのであまり使い慣れてない内蔵フラッシュを使って撮ってます。あまり好きじゃないけど撮れないよりマシですw


銃眼の周りには木枠が残っています。


銃眼から覗いてみましたが、開口部の木片と植物が邪魔で先が見えません。銃眼は段々がついてないストレートタイプです。


もう一方の部屋。ここは通信司令室らしいです。


まあまあ大きめの伝声管があります。二階観測室と伝声管が繋がっており、銃眼の部屋に司令を出すためのものだったと言われています。


壁を回り込んで奥まで来ました。壁の溝は何でしょうか?木が残っていますね。


左上の穴は二階への経路のようで、右側が入ってきた連絡口。内部を一通り観察したので外に出ます。


改めて二階建てトーチカを確認しますが、やはりハマナスの群生により全貌が見えません。季節を変えたら見えるかも知れません。


戻って来ました。着いた時には気が付きませんでしたが、藻琴海岸は釣り人などで結構賑わっていました。遠くまで釣り竿が並んでいますね。


次は藻琴トーチカ。網走原生牧場観光センターの敷地内にあります。『浜藻琴』と同じく二階建てのトーチカで、トーチカを保護するために小屋を建てたというワリと珍しいものになります。小屋の左に見える平べったいコンクリートはトーチカの上部のようです。木の陰にはトーチカの説明石版が設置されているという豪華なトーチカです。


『旧日本軍トーチカ跡』。黒い石版には『昭和十九年(1944)アメリカ軍の上陸を想定し、網走防衛を命じられた陸軍部隊が貨車一台分のセメントを使用し、約三か月で建築した。地下二階の部屋は厚さ五十センチの壁で囲われ、知床方面のオホーツク海岸を見渡せる銃眼が造られている。』と彫られています。裏面は確認するのを忘れましたw


三角屋根のトーチカ格納小屋。『藻琴トーチカ』は1983年5月24日に発見されました。続いて『台町トーチカ』が1992年7月12日に発見されたという記録もあります。


とりあえず建屋を一周。直前に調べた情報によると内部は危険なので現在は公開されてないというウワサでしたが、牧場レストランで内部見学をお願いするとあっさり許可がいただけました。


裏口の鍵を開けてもらい、ご親切なことにガイドまでしてくれるとのこと!


トーチカに降りていく階段です。これはワクワクします!


施設の照明もつけていただきました。大サービスです!


すごく良い雰囲気の地下空間へ潜って行きます。


この辺りは土がそのまま露出しています。ヒンヤリした空気です。


地下1Fというか二階建てで言えば2Fですね。コンクリートの通路を進みます。左壁には電球が取り付けられていたようなソケットが見えます。質の良いコンクリートも当時のものではないでしょう。


一目瞭然、ここで急にコンクリートの質が変わります。色もですが。白華現象の鍾乳石が80年という歳月を物語っていますね。


観測室ですね。窓があいています。こちらはオホーツクの海岸を向いているようです。このトーチカの壁にも溝があり木が取り付けられていますが、間柱的な役割のものでしょうか?内壁を作るための下地にするとか?内壁のあるトーチカなんて見たことないですけどw


観測室の足元です。腐食でボロボロになった木材が堆積しています。溝が気になる…


続いて地下2Fというか二階建ての1Fですが、通路を進んで行きます。いろいろお話しを聞かせていただきましたが『見終わったら照明切っといてね』とガイドはここで終了です。ありがとうございます!


一人になったのでじっくり見て回ります。浜藻琴と同じようにコンクリートの隔壁で仕切られた部屋があります。


通信室ですが、弾薬の一時保管庫という説もあると伺いました。


天井部には上階と繋がる伝声管があります。そして先ほども見かけた電気配線用の管と電球ソケットがここにも。


隔壁の右は銃眼の部屋になっています。浜藻琴と同じような造りなんですね。


銃眼は観測窓と同じ方向、オホーツクの海岸を狙っています。植物が無ければ海が見えるんでしょうね。こちらも段々のついてないストレートタイプの銃眼。


こちらにも伝声管があります。


この溝は排水溝だそうです。トーチカの排水溝は初めて見ました。排水溝をまたいで三本のボルトが突き出ています。根室のようなゴツい銃座はありませんが、このボルトで機関銃を固定していたようです。


あまり長時間の滞在も迷惑かと思い、ぼちぼち切り上げることにしました。


地下の秘密基地みたいでかなり楽しかったですw ここはオススメ!


最後に銃眼と観測窓を確認。こちらは銃眼部。


銃眼の下の方にはU字溝があり、トーチカの排水溝と繋がっているような感じです。


銃眼の真上に観測窓があります。


観測窓の上が冒頭の平べったいコンクリートです。ここからはオホーツクの海が見えます。銃眼から見える方向、約2km先には浜藻琴トーチカがありますが裸眼では確認出来ませんでしたw


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