尺別炭鉱跡(音別町)2012

2012年1月24日火曜日

炭鉱(尺別・浦幌)

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北海道白糠郡音別町に存在した尺別炭鉱。第四次石炭政策により、雄別三山の企業ぐるみ閉山とともに1970(昭和45)年閉山。マチには4,000人もの人々が暮らしていたといいます。

今回は真冬の炭住アパート、初夏の尺別炭山駅・選炭場を探索しました。

真冬の尺別炭鉱

尺別生活館

8年振りに訪れると、真新しい看板が立てられていました。

真冬の訪問は初めてです。


この建物は尺別生活館の跡で、現在は農場の物置として使用されています。

扉に書かれた農場名は、10年前からありました。


尺別給油所

生活館の眼の前には、給油所の遺構があります。


御覧の通り、中には何も残ってないようです。


建物としては、雄別の給油所よりも小さいかな。


何もないと思ってましたが、トイレを見つけました。


給油所の天井です。

所々に天井材のジプトーンかな?、が遺ってます。


雄別の給油所でも見かけた金属のケース。

キーボックスかブレーカーとかの操作盤でしょうか?


炭住アパートを目指して

給油所を後に、丘の上の炭住アパートを目指します。


いきなり道を間違える

途中、道を間違えて向かいの丘への登頂を果たしてしまいました。

気を取り直して進みますが、見た目よりも深い雪だったので一歩進むたびに膝まで埋まり、足を抜いては埋まっての繰り返しで、心が折れそうになります。


炭住アパートに到着

大幅に時間をロスしたせいで1時間も歩くことになりましたが、二棟だけが残る丘の上の炭住アパート前に到着しました。

真冬はスノーシューが必須ですw

この辺りにはアパートがたくさん並んでいたようですが、この二棟を残し他は解体済みらしいです。


こちらは白い壁の炭住アパート、外観です。


白壁のアパート内部

日没が近いので夕日が入ってきているのが見えます。

コンクリートブロック造のようです。


配電ボックス?がぶら下がっています。


ダストシュート

『ごみ』『灰』と書かれたダストシュート。

灰は石炭ガラですかね?火災が心配ですが。


階段室です。金属製の手摺り付きとなっています。


壁なのか天井なのか、いろいろ崩れてきているのがわかりますね。

縦に並んだブロックが剝き出しになっています。


アパート内部は、外からでは想像つかないほど部屋数がありました。


トイレを確認

トイレです。トイレは必ず撮りますw

便器のようなものがあります。


日没がもうすぐそこまで来ています。お邪魔しました。


次は茶色のアパート

もう一棟のアパート。外壁が剥がれ落ち煉瓦が剥き出しになっています。

剥き出しの煉瓦で茶色になってますが、元々は同じ白壁だったのでしょうか?


部分的にモルタルが遺ってますが白くはないですね。灰色のアパートが正解?


煉瓦のアパート内部

アパートの床を見ると煉瓦色になってますが、元からこの色だったのでしょうか?


玄関のシルエットです。

僅かながらガラスが残っています。


白壁のアパートは金属製の手摺りがついていましたが、こちらには無いですね。

建物の年代が違うのでしょうか?


木製の扉がしっかりと遺っています。


壁や床の状態を見ると、内部の状態はこちらの建物のほうが良さそうです。

現状、外壁に大きな穴が開いてますが、煉瓦造りは蓄温性や耐温性に優れていると聞きます。


ボロボロになった畳とテレビ台でしょうか?


色々な残留物

漬物石とバケツの蓋です。

『ネオミルク』の缶もありますので赤ちゃんが居たのでしょう。


漬物樽でしょうか?

上部の箍が外れてバラバラになりそうです。


これはキューピー人形と、鹿の骨でしょうか。


当時のものかはわかりませんが、こちらの建物にはいろいろな物が残されています。


アサヒヨーグルと書かれた瓶が転がっています。


内壁もしっかり遺っていますね。

この建物にも植物の侵食が見られます。


トイレを確認

こちらのトイレです。便器は見当たりませんでした。

先ほどの階段といいトイレの雰囲気からも、こちらの煉瓦アパートは年代的に古い建物かも知れませんね。


壁の落書きを見つけました。

お子さんが暮らしていた痕跡です。


集合煙突の壁は煤けています。


というわけで、お邪魔しました!


日没後の冷え込みの中、下山します。


尺別炭鉱、初夏

跨道橋基礎

雄別炭礦尺別鉄道線新尺別駅の手前にあった跨道橋跡です。

道路は現在、道道361号(尺別尺別停車場線)となっていますが、元々は軽便運炭軌道が通る鉄路だったようで、廃止後に道路転用されています。


最近草刈りが入ったようです。

折角なので鉄道橋歩道を通り抜けてみます。


新緑が映えます。まだ虫が少ない季節で良かった!


人道で電灯の跡を見つけました。


人道を通り抜けてみます。


もう片方の人道は道路関係の資材置場になっていて通れませんでした。


炭鉱跡を目指して

尺別炭鉱跡を目指して尺別川を渡ります。

道道は草刈りが行われ白線も引き直し綺麗に整備されてますが、行き止まりの道道なので交通量はほぼゼロです。

道道はここから数10メートル先で舗装が途絶え、一気に荒れ出しますw


未舗装路に突入。

この先はほぼ廃道と言っても良いくらいに荒れているため、徒歩での移動に切り替えます。

炭鉱の遺構は山深い場所で眠っているため周辺に人家が無く、熊の恐怖に怯えながらの探索となりました。


尺別炭山駅

川の向こうに見える建物は、手持ちの本によると雄別炭礦尺別鉄道尺別炭山駅の木造駅舎と記載されていますが、ここまで崩れてしまうとわかりませんね。


参考までに、2003年頃の様子

9年前に訪問した時は建物の形がまだ残っていました。

当時のデジカメ、CASIOのQV-10で撮った写真です。320×240ピクセルw

この辺りに尺別炭山駅があったというのは他の地図にも載っていますが、これを見てもあまり駅っぽい建物には見えませんね。


炭鉱遺構へ到達するには、この川を渡らなければいけません。


さっきの建物の真下です。


上陸しました

川の向こうに上陸し、炭山駅の建物裏側まで来ました。


足元には碍子が落ちています。


電球も見つけました。綺麗な状態で割れずに落ちていますね。

尺別鉄道は1970年2月の炭鉱閉山後も暫くはヤマを離れる人々を輸送していましたが、1970年4月には廃止となりました。

この炭山駅について、根室本線の旧尺別駅舎内に貼られていた資料によると新尺別駅-尺別炭山駅間の運行は1日1本だけだったようです。


【1965年、廃止5年前の時刻表】

07:50発 (社)尺別-八幡前-新尺別-旭町-尺別炭山 08:22着


何らかの遺構を発見

尺別炭山駅裏手には選炭場があったようです。

川を渡って来てるので、もし熊に出会ったら逃げ場が無いなとビクビクしながら探索します。


斜面に沿って巨大な選炭機遺構があるらしいのですが、この時は熊が気になり精神的に余裕が無かったためあまり見れてませんw


山の上方にも何かの遺構、折れた隧道遺構があります。


あまり大きいものではありませんが、排水用?煙道という説もあります。


更に上方では大量に水が流れているのが見えますが、硫黄の臭いは感じません。

蕗の群生を掻き分けて行かないと近づけないので断念します。


滑車を見つけました

地面から突き出たレールと、錆びた滑車があります。

捲揚用?何でしょうね。


周辺を探索。これも選炭関係の遺構でしょうね。


水を流し込んでいたような雰囲気の遺構です。


太い鉄管がコンクリート遺構を貫通しています。


位置関係を確認

折れた遺構(左)とコンクリート遺構(中央)の位置関係です。

断片的な古い地図しか資料が無いため自分の足で探し回りたいところですが、ここの炭鉱跡には熊が出ると事前に聞かされていたので、この日は怖くなって退散しましたw


(参考:尺別炭鉱跡2013 / 尺別炭鉱跡2015)


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