由良要塞【友ヶ島砲台】其の壱

2018年11月26日月曜日

軍事遺構(近畿)

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和歌山県和歌山市の北西に浮かぶ無人島『友ヶ島』は沖ノ島・地ノ島・虎島・神島の4島を総称したものです。友ヶ島には明治22年から沖ノ島に5箇所の砲台と虎島には堡塁が造られ『由良要塞』の一部とされました。由良要塞は、明治政府が大阪湾への敵艦侵入阻止を目的に紀淡海峡防衛のため構築した要塞で、友ヶ島地区に6箇所+加太・深山地区に8箇所+由良地区に11箇所=25の砲台によって構成されます。同じく大阪湾を、淡路島を挟んだ鳴門海峡で防衛するため明治30年から4つの砲台が造られた鳴門要塞が、明治36年に由良要塞へ編入されました。

友ヶ島には加太港からフェリーで渡りました。フェリーの名前は『ともがしま号』だったか『ラピュタ号』だったかは失念しましたが、乗船時間は約20分で意外と混んでおり、料金は往復2,000円+加太港の駐車場代数百円もかかります。猿島が往復1,300円ということを考えるとちょっと高い?w


友ヶ島の岩肌が見えて来ました。島への上陸は東京湾要塞の猿島砲台以来になります。


友ヶ島に上陸。野奈浦桟橋から西の方向、海の家が見えてきました。
ちなみに、海の家は手前の建物ではありませんw


道標があります。事前にルートを考えてはいましたが、帰りのフェリーに間に合うよう遠くて道が封鎖されている可能性もあった『虎島堡塁』は最初から諦め、5つの砲台のうちどこまで探訪出来るかが勝負です。


取り敢えず海沿いに歩き、友ヶ島第二砲台を目指しました。木々の隙間から遺構が見えてきました。


友ヶ島第二砲台の看板によると、友ヶ島第一・第二・第五砲台は海峡にさしかかった船を真横から砲撃することを目的としていたようです。
友ヶ島第二砲台は戦後、米軍によって爆破され砲台右翼の第一・第二砲座は破壊、左翼第三・第四砲座は半壊の状態で残っているとのことです。


手前が第四・第三砲座間、奥が第三・第二砲座間の横墻給弾室です。


右翼側の第二砲台へ回ってみます。


煉瓦がパックリ割れてますね。破壊の跡です。


破壊するにしても中途半端な感じですが。


掩蔽部の通路に降りてみます。砲側庫が見えますが、ゴミで近寄り難い状況。


後ろを振り返ると、こちら側は大量の木で埋め尽くされていました。進むのは無理そう。


先ほどの割れた煉瓦の裏側です。煉瓦の塊がゴロゴロしています。
第一砲座は海に消えたのでしょうか?


給弾室には塞がれた揚弾井がありました。
※記憶が曖昧だったのでyakumoさんのサイトを参考にしています。


海側へ回って確認すると、破壊された砲台の残骸が波打ち際にまだ遺っていました。
いつかは波にさらわれそうです。


かろうじて残った第二砲座の砲床にはボルトが2本だけ残っています。
米軍による破壊が凄まじいのは友ヶ島第二砲台だけで他の砲台では破壊の感じは見られなかったのですが、何故でしょうね?
海に近くて壊しやすかったから?見せしめ的なこと?壊してみたら意外と頑丈で大変だったので途中でやめた?


友ヶ島第二砲台付近の斜面にはトーチカのような構造物がありましたが、肝心のトーチカは何故か写真に撮ってませんw

その代わりと言っては何ですが、近くに隧道を発見。トーチカへの連絡坑道でしょうか?


隧道を抜けてみました。内部には特に何もありませんでした。


友ヶ島第二砲台から歩くこと約5分で友ヶ島第一砲台に到着。正面の隧道は第三・第四砲座の塁道に抜けるものですが、鉄柵で入れません。
右の看板は近代化産業遺産の認定を受けた友ヶ島灯台のものです。


上から回り込んで第三砲座前より見下ろすと、換気塔のようなものが取り付けられた棲息掩蔽部が2つ並んでいました。
その向こうに見えるのが先ほどの鉄柵隧道。階段は降りられそうに見えますが、何故かトラロープで封鎖してあり行けませんでした。


友ヶ島灯台はスルーして友ヶ島第一砲台の見どころナンバーワン、右翼観測所まで来ました。


手前にある謎の凹みにモルタル片が詰め込まれてます。これは観測所の天蓋を覆っていたものだと思いますが、誰かが拾い集めたのでしょうか?
カマボコの左には門扉を取り付けてあったような穴が2つ開けられています。
ところでこのカマボコのような凹みって何に使用するものだったんでしょうね?


観測所内部を確認。木製の天井がなんかキレイですね。三本の支柱は観測器を設置するための台座のようです。
訪問時、動物か何かの死骸が放つ異臭が充満してたので入るのは断念。


右翼観測所を上から観測します。見事な装甲掩蓋です。
周辺には先ほど見たような掩蓋を覆っていたモルタル片が散らばっています。


観測窓からは観測器の台座が見えます。
この掩蓋の雰囲気から、巷ではアッガ◯と言われていますw


観測所に鉄製の掩蓋が残っているのは珍しいとのことです。
時間が無くて左翼側観測所は見れませんでしたが、勿体ないことをしました。


第一・第二砲座の掩蔽部通路に降ります。


友ヶ島第二砲台では不発でしたが、やっと塁道を歩くことが出来ました。
階段に挟まれているのは砲側弾薬庫、その向こうは第三・第四砲座への隧道交通路です。


降りてきた階段のすぐ横にあったのは右翼観測所の司令室。


中は真っ暗なのでLEDライト片手に入ります。
フラッシュ撮影だとキレイに写せますが、あまり好みじゃないので多少ブレたり変な色になってでも極力フラッシュは使いません。


司令室内部です。左側にぼんやり見える丸いものは、観測所と繋がる伝声管でしょうか?
ちゃんと見ておけば良かった!


入ってきた通路を引き返します。外が眩しい!


こちらは砲側庫ですね。コンクリートブロックで塞がれていました。


第三・第四砲座に抜ける通路ですが、鉄柵があってこちら側からも行けなくなっています。
あそこにある棲息掩蔽部で何か…例えば島で使う燃料でも保管してるんでしょうかね?
そう言えばガス抜きっぽいものが取り付けられていましたが、島の秘密があるのでしょうか?w


ここにあるもう一つの砲側庫は塞がれていませんので、中を確認します。
天井の意匠が素敵ですね。
誰が並べたか、明り取りの窓には瓶と缶が置いてありました。


中にはいろいろありますが、当時ものとも思えないゴミだか漂流物だか投棄物。


一斗缶まであります。


鉄柵の向こう側、第三・第四砲座を望遠で撮影。何故封鎖しているのか気になります…



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