越川橋梁は北海道斜里郡斜里町、旧国鉄根北線の未成区間に遺る無筋コンクリート10連アーチ橋です。現在は国道244号に分断され6連+1アーチという形で遺っており、国の登録有形文化財に登録されています。正式名称は『第一幾品川橋梁』。
第一幾品川橋梁(越川橋梁)の橋脚には説明板が設置されています。根北線と越川橋梁についての歴史背景については、ざっくりと以下のようになります。
・1939(昭和14)年
軍事体制下、「北方の防衛強化」のため海岸線の軍事拠点を繋ぐ輸送ルートとして着工。強制労働により工事が進められたが、大陸戦線の激化に伴い中断する。
・1957(昭和32)年
斜里~越川間で根北線が開通するも、この越川橋梁まで線路が延びることは無かった。
・1970(昭和45)年
赤字83線に指定され「使命を終えた」として根北線が廃止となる。
・1973(昭和48)年
国道244号線拡幅工事のため、10連のアーチから橋脚2本を撤去。
・1998(平成10)年
国の登録有形文化財に登録される。
戦時下の鉄不足でこの橋には鉄筋が使われていないうえ、国道にアーチを分断され強度を失っているにも関わらず着工から既に70年以上が経過し、なおも建ち続けている『一度も使われることのなかった』鉄道橋です。
手前が取り付け部になります。こちらには1アーチだけ遺り、国道開通で橋脚が2本失われた結果3アーチが欠損、国道を挟んで6連アーチが続くという元々10連のアーチ橋です。往時の姿はこちらのサイト『
斜里町立知床博物館』で窺えます。
橋脚2本の撤去により、アーチが3基失われた状態です。
国道の向こう側にアーチが続いています。
航空写真で見ると、国道244号によりアーチ橋が分断されているのを確認出来ます。
もはや1アーチのみに分断されたものを見上げます。こちらは国道の西側になります。
このアーチの片側は水に浸かっています。
もう片方には、崩れたコンクリートが散らばっています。
きけんの警告を出しチェーンが張られていますので、アーチの真下には入らないように。
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国道東側の6連アーチ橋 |
国道を渡ってみたものの、コンクリートと同色の枯れ木が密集しているためここからでは写真を撮るのがかなり厳しいですw
アーチ橋にくっついて撮影することで、なんとか6連を確認しました。
というわけで、6連アーチ橋側の河原に降りてみます。ここからだと道路向かいのアーチ橋も見えますね。
とは言え、こちら側にも枯れ木が多くて撮りづらいですw
こうして見ると、上部には多数のひび割れが確認出来ます。むしろこちら側の方が危険な気もしますが、バリケードや注意喚起などはありません。わざわざここまで来る人も少ないのかなw
幾品川に向かうほど、橋脚の高さが増していくのがわかります。
アーチ5基を写真に収めました。この時は入って来れましたが、この川の普段の水量はわかりません。
少し場所を変えてギリギリ6連アーチの撮影に成功!
橋脚に近づいてみると、水切りに2筋の赤茶色を確認しました。おや?鉄筋は使われてないハズなのに錆でしょうか?…上部の路盤に使用した石材から染み出た成分が垂れてきたのでしょう。