由良要塞【深山砲台】其の弐

2018年11月26日月曜日

軍事遺構(近畿)

t f B! P L

旧軍道を下ること15分ほどで深山第三砲台(男良谷砲台)に到着。深山第三砲台には『男良谷砲台』という二つ名があるんですが、まず何と読むのかわかりませんw
ネットで調べても『おとこらたに』とか『おらのたに』とか『おらだに』とかいろいろです。『男良谷』という名称は歴史的資料(下記)にも記載がありますので、昔からその名前だったようです。地名だったのかな?


第一・第二砲座間の砲側庫です。これまでのような煉瓦造りではなく、コンクリートと石を削って仕上げたように見えます。
男良谷砲台には1砲座2門の2砲座があり、この砲側庫の左には第二砲座、右には第一砲座と配置されています。
第一砲座から奥に続く道を辿ると海に出られる階段があるようですが今回は行ってません。それどころか時間の都合で第一砲座自体をほとんど見れませんでした。


第二砲座に並ぶ即応弾薬置場。砲床を探してみます。


砲床が確認出来ないくらいに枯れ葉で埋もれていたため見つからず。
日没も迫ってきているため急ぎます。


これはどこにあったものか忘れましたが、軍の標石でしょうか?
16 208 の数字が刻印されていました。


男良谷砲台のすぐ近くには海軍由良水雷隊の遺構があります。
砲台の北方に海軍の魚雷発射場である深山基地があり、これはそこに行くための交通路らしいです。


隧道の内部です。この先は落盤で閉塞しているため真っ暗ですが、床面に枕木の跡が続いているのが確認出来ました。
トロッコ軌道で水雷を運んでいたようです。


隧道は右カーブになっています。非常にジメジメした空間です。
右側面にはジメジメが好きな生物が見えてきました。一応ボカシ入れてますw


崩落部分に到達。思い切ってフラッシュで撮影してみますと…ゲジゲジとカマドウマも居たかも。
奥にはコウモリがぶら下がっていますが、念の為、虫にはボカシ入れてますww


JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C05110108400、第18号 男良谷水雷発射場図(防衛省防衛研究所)
アジ歴さんに200分の1縮尺の資料がありましたので拝借します。
4枚に分割された画像を1つに加工したものです。
見たところで素人には良くわかりませんが、こういうものが今でも埋まってるかと思うとワクワクしますね。


「第33号 由良水雷隊兵舎仮設 同発動機室及ひ電燈室仮設同士官室及ひ附属物仮設位置図」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C05110169500、「極秘 明治37.8年海戦史 第8部 会計経理 巻6.7.8別冊」(防衛省防衛研究所)
アジ歴さんにあった、男良谷砲台(陸軍砲座と書いてある)周辺の位置図も拝借します。


ということでこれがその由良水雷隊の発電所機関室の遺構、だと思います。


崖上まで水路のようなものが続いてますが全くワカリマセン。排水路?工業用水路?魚雷関連?


機関室を横から見たものですが、煉瓦積みと斜面の石積みが良い感じっすね。


これの第一印象は『炉』ですね。

資料には由良水雷隊の兵舎、発電機室、電灯機室、士官室、付属物位置図と書いてますので、それらへ向けた発電所だったのでしょうか?
国土交通省関東地方整備局のサイトにあった第三海堡「電灯所」のウェブページには『明治時代の探照灯(現在のサーチライト)は、操縦桿によって水平から俯仰、左右に手で動かしたようです。
発電は機関舎にボイラー・スチームエンジンを据付け、発電機で発電し、探照灯までケーブルで通電しました。
常時探照灯は地下の電灯井に格納し、有事の際には、探照灯を電灯座に載せ昇降機で引き揚げて使用していました。

第三海堡では探照灯を台車に乗せたまま、照明所に運搬するために用いたと思われる軌条(レール)も確認されました。』という説明があったので、探照灯のために発電所を備えるというのは、明治期では一般的だったのでしょうかね?


『炉』の裏側です。煙突のようなものと接続しています。


煙突のようなものを上から覗いてみます。


井戸みたいw 煉瓦の円は美しいっす。


と言うわけで電灯所に向かいます。藪漕ぎをしながら海側へ向かって歩くこと数分、排水路らしき場所に出ます。更に排水路を辿って行くと、今度は大量の煉瓦。


目の前に煉瓦の坑門が現れました。
探照灯格納庫と言われるものですが、排水路が直接ここに繋がっていたら中は水浸しですね。海軍では電灯座と言うんでしたっけ?


早速、隧道に突入します。


先程の崩落隧道と同じく右へカーブしていますが、先程のようなジメジメ感は無く、奥からは光が入ってきています。


10数メートルくらいでしょうか、無事に隧道を抜けることが出来ました。


外に出て振り返ると…坑門のアーチと隧道のアーチが妙な感じで重なってます。後付け?


海の匂いと海の音が凄いな、と思ったら目の前が海でしたw
この場所まで探照灯格納庫から電灯座に乗せてトロッコで運搬していたのかな?と、思いを馳せてみます。


夕暮れが近くなって来たので戻ります。


枕木とレールの跡がしっかりと遺っていますね。右壁の抉れた煉瓦が気になります。


坑門の上部には扁額でもあったのか、跡が遺ってました。
この隧道にはジメジメ好きな生物が全く居なかったので快適に往復出来ましたねw

(参考:友ヶ島砲台


更新状況

ブログランキング

ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキング

注目の投稿

室蘭工場夜景2018

2017年、北海道室蘭市の工場夜景に異変が発生しました。2017年9月、JXTGエネルギー室蘭製造所が2019年3月末をもって製品製造部門から撤退することを発表。室蘭の工場夜景は人気が高く、新たな観光資源として注目を集めていたのですが、室蘭観光協会は撤退によって『どの程度明かりが...

人気の投稿

注意事項

遺構については個人が趣味の範囲で調べたものですので、必ずしも正確なものではありません。また、当ブログでは熊などが生息している危険な場所を扱うことがありますが、探索を推奨するものではありません。なお、当ブログを見て何らかのトラブルに巻き込まれても当方は一切責任を負いません。

旧ブログ『探索の痕跡』

個人情報について

QooQ